派手な私
2019年3月、現在。
私の見た目は、恐らく「かなり派手な人」に分類されるだろう。
髪色は金髪にとどまらず、シルバー・ブルー・パープルと、次々に変化する。
服装は古着とユニクロのスキニーを好んで着ている。
大体トップスは男性物をゆるく着て、メンズライクな格好が多い。
メイクにも、色んなカラーを取り入れている。
マスカラは黒だけでは満足できなくて、毎日カラフルに変化する。
最近お気に入りのアイラインは、ホワイトだ。
実はピアスは怖くて開けていない。
元々、はっきりとした顔立ちだったことも相まって、今の私は「かなり派手な人」。
派手ではない私
私は元々、そんなに派手な格好をするタイプではなかった。
所謂「森ガール」とでも言える、ナチュラルな雰囲気の服装が多かった。
メイクも必要最低限。
アイメイクなんて昨年くらいまで一切しなかったし、毎日サックスを吹いていたのでリップも塗らなかった。
派手ではなかった私は、ここ2年近くでかなり派手になった。
そのきっかけは、古着で買ったピンクのキャップ。
当時、ほとんど引きこもり生活を送っていた私の楽しみは、ZOZOTOWNで安くなっている古着を漁ること。
自分の好きなブランドの商品が安くなっていると、気分が上がった。
たとえ買えなくても、見ている時間は幸せだった。楽しかった。
ある時、たまたま帽子を探していたら、チャンピオンのピンクのキャップが安く出品されていた。
ピンクのキャップなんて、使いづらいのかな〜。
でも頻繁に出かけられるわけでもないし。安いし、試しに買ってみようかな。
そうして私は、ピンクのキャップを手に入れた。
たまの外出は、通院。
買ったはいいものの、ほとんど外出する機会はなかったので、ピンクのキャップを被る機会もあまりなく。
外出をする時と言えば、一大イベント・通院。
そんな通院の際に、ピンクのキャップを被っていくことが複数回あった。
「顔の色も明るいね。」
当時の私は、精神科の通院にも少し慣れて、先生にも色々な事情を打ち明けられるようになってきた頃。
2週に1度の通院では、少しだけ気分が良い日もあった。
そんな中、ある日の通院で、先生に言われたこと。
「今日は調子が良さそうだね。
自分では気付いていないかもしれないけど、調子が良さそうな時は自然と明るい色のコーディネートになっているよ。
ピンクの帽子も良いね。積極的に明るい色を服装に取り入れるといいよ。」
ちょっぴりこっ恥ずかしくて、照れ隠しに笑いながら「ありがとうございます」とだけ返事をした。
そっか、私少しだけ気持ちが上向きなんだ。
だから、ピンクの帽子を被っているのか。
人の目を気にして、マスクと帽子と眼鏡を常備して外出していた私にとっては、とても嬉しいことだった。
それから私は、ピンクのキャップを意識的に沢山被るようになったし、
それまで一度も染めたことのなかった髪も染めた。
私の心は。なんだか少しずつ明るくなっていくようだった。
派手な私は、私を照らす。
そして今。
私は、誰に会っても「すごい派手だね」「その髪色すごいね」なんて言われるような外見になった。
人からの視線を異常なまでに気にする私にとっては、もしかしたらこれは荒治療なのかもしれない。
どんなに人の視線を感じても、あまり動じなくなったし、もうマスクと帽子と眼鏡は、全部要らなくなった。
全ては、ピンクのキャップを買った、あの時から。
私は派手になって、自分の心を明るく照らし続けている。